地方の課題

地域経済は誰のためのものなのか。地域振興における鍵を探る。

地域経済の現状

新型コロナの影響もあり、2015年と比較すると我が国の鉱工業生産指数、消費総合指数ともに下落している。特に2020年には、鉱工業生産指数は最も低い水準で、東海で7割ほどの稼働となった。消費総合指数は、2019年をピークに下落し、サービスを中心に軒並み下げている。

インターネット通信網を中心に都市部のDX化が進むなかで、地域ではインフラが整備されていないところも多いため、今後起こりうる災害や緊急事態の際の影響は計り知れない。ゆえにまだまだ課題が残っているのが現状である。

地域振興とは

地域振興は、地方から都市部に若者が集中することで生まれる、地方と都市部の不均衡な発展、また生活の豊かさを実感することができない現代人のために、歴史や文化などを大切にし、地域の良さを活かすことを目的にはじまったとされる。

その中で最も重要なことは、SDGsにならい一時的なものではなく、地域の資源を有効に活用して持続的な発展をすることでもある。

また、個人がやりたいことができ、自身の力でお金を稼げる環境を作ることも重要であると考えられる。なぜ都市部に若者が集中するのかといえば、流行なども考えられるが、その大きな要因の一つに自身の好きな仕事が都市部にしかないことが挙げられる。地方でもそれが可能になるのであれば、都市部ではなく生まれ育った街で働きたい若者も増えるであろう。若者が求めていることは、仕事を通して自己表現をし、認められたいという気持ちが強い。

まさに自己表現や自己実現ができる場を用意し、若者が輝ける街を考える必要がありそうだ。

地域振興の鍵

昨今のYoutubeなどをはじめ、今は個人で発信ができるコンテンツが溢れているので、自己表現する環境はいくらでも作れるが、より地域に根ざして自己実現までのステージに昇華する過程において、官民が協力体制を作ることで若者にとって優しい街となる。

例えば、観光大使などの地域の良さをおすすめする大使を細分化したり、カテゴリーをもっと増やしても面白いかもしれない。若者が自己実現できるようにサポートをしていくことで、労働力が上がり街の生産力も上がっていくだろう。

インターネットを介して、世界中から集まる個人のファンがさまざまな形で支援したり応援し、その地域の経済発展に寄与する形が、地域振興の鍵となりうる。

その他事例紹介

ここで個人以外にも、法人やより規模の大きな事例も取り上げておく。

愛知県では、有料道路の利便性向上、民間事業者に対する新たな事業機会の創出、効率的な管理運営を目指し、県の道路公社が管理する全9路線のうち8路線の有料道路を、公社管理道路運営権を設定して、民間事業者による公社管理道路運営事業を実施。

民間の事業者が維持管理や運営業務、改築業務、附帯事業に係る業務、任意事業に関わるようになっている。

栃木県では、人口減少等による地域経済の衰退を改善するために、公民連携のまちづくりを担う人材育成、多角的な視点や新たな発想によるまちづくり支援のための3年間研修プログラムを実施しています。プログラムでは、リノベーションまちづくりの専門家の指導の下、課題解決に向けてさまざまな取り組みを行っている。

長崎県では、調和のとれた魅力ある都市景観の形成、複数実施中の都市開発プロジェクトの縦割り的な実施を目指し、長崎港周辺の整備や再開発など都市開発プロジェクトについて、専門家のアドバイスを受けながら横断的にデザイン調整を行うシステムを構築。専門家会議メンバーと県、市で構成した会議にて、プロジェクトの進め方等に関して調整を行ってい流。

また、スポーツにおける振興も有名。2017年、当時経営不信に陥っていたプロサッカークラブチームのV・ファーレン長崎には、トップスポンサーであったジャパネットホールディングスが100%出資し、経営再建に取り掛かった。試合前も試合後も楽しめるスタジアムを目指し、選手の育成はもちろんのこと、駅からスタジアムまでの道のりにさまざまな仕掛けを施し、その年には見事J1昇格への切符を掴み取る。観客総動員数も22,000人を超え、クラブ史上初の快挙を達成。まさに街を巻き込み、地域振興が成功した事例でもある。

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